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東京の理想と現実。自分に必要な場所は地元だった

2017年4月28日

今回は「東京の理想と現実。自分に必要な場所は地元だった」というタイトルで、もし収入が今とそれほど変わらないとしたら地元に帰りますか?という質問に答えて頂きました。



ほんのちょっとの自信だけをもって東京に出てきた私

34歳、女性、自営業、地元は秋田です。

東京に出てきて1年半が経とうとしています。

東京にはさっぱり慣れず、人に会うのも、電車に乗るのも怖くなってしまいました。

初めはやりたいことがあったんです。

東京の方がチャンスをつかみやすい、ずっとやりたかった仕事。

でも、若いわけでもなく、ほんのちょっとの自信だけをもって東京に出てきてしまった私は、あっという間に自分を失ってしまいました。

東京にはなんでもある。好きなことができれば大丈夫と…

初めは運良く就職先が見つかり、生まれて初めて満員電車を経験。

頑張って毎日通勤していました。

けれど、職場は誰も親切でなく、いつも一人。

何をやっても馬鹿にされている気がして、「ここにいたら死ぬな」と思ったので、さっさとやめました。

夢はあきらめていないんです。

むしろ、フリーになって夢に近づいたと思いました。

そのためのスクールにも通ったんです。

でも、うまくはいかない。

小さな仕事をかき集めて、本当はこんなことやりたくないなと思いながら、締め切りのプレッシャーや、冷遇に耐えています。

満員電車に乗らなくて済めば、好きなことができれば、大丈夫だと思っていました。

東京にはなんでもある。

仕事以外のことなら東京にいる必要がなくなった…

でも、東京の人は、何とか損をしないように、何かに置いて行かれないように、誰かよりも偉くなるように、そんなふうに生きている気がして、私のちっぽけな自尊心はとっくに打ち砕かれたし、親切心は全部利用されるんだと分かりました。

私の仕事は、パソコンとネット環境さえあればどこでもできます。

私の生活は、家とネットと車とイオンがあれば、どこででも成り立つのです。

友達は東京にはいません。

古くからの友達も、ネットで知り合った友達も、いつでも連絡をとり合えているし、会おうと思えばいつでも行き来して会うのです。

仕事以外のことなら、東京にいる必要がなくなった。

それを考えると、死にかけみたいになっている私の創造力を復活させるためにも、今すぐにでも故郷の秋田に帰りたくなります。

元から私は、秋田からどこへでも行けました。

そして、帰る場所もいつも秋田だったのです。

意識の高い人たち。いつも工事中の都心。

商売が下手な田舎者、ずるくなれない人ばっかり、仕事がなくて人口流出には打つ手なし、人がどんどん少なくなっているところだけれど、私はあそこに帰って静かに暮らしたい。

どうせ売れないからってどんどんおまけをくれる道の駅の人たち、受付が無人でも、勝手に入って後払いすれば大丈夫なほったらかしの温泉、買えばいい値段がするキノコを自家用にどっさり採ってくる、山を知り尽くしたマタギのような父。

あの、自然と人の良さのままにのんびり生きる秋田と秋田の人たちを思うと、慣れることができない東京で、一人で泣いているのが滑稽にすら思えてきます。

高くてお洒落で量の少ない、最新の食べ物や、いわゆる意識の高い人たちには私はどうもついていけないようです。

次々と建て替えが行われ、いつも工事中の都心はいつまで経っても見慣れません。

秋田なら、思うだけで、今この季節の気温や町の景色、今日月がのぼる方角までわかってしまう。

いつまでも変わらないからです。

ずっと故郷とつながっていること、いつか帰ることを信じて、まだ、私は東京でがんばらなくてはなりません。


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